2018年10月9日
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主催:東京大学先端科学技術研究センター当事者研究分野
平成28-33年度 JST戦略的創造研究推進事業(CREST)
「認知ミラーリング:認知過程の自己理解と社会的共有による発達障害者支援」
共催:在日米国大使館
日時:2018年11月2日(金)~2018年11月3日(土)
場所:東京大学先端科学技術研究センター3号館南棟1階ENEOSホール
申し込み:下記のフォームから必要事項をご記入のうえ、お申し込みください。
申し込みフォーム
<プログラム>
2018年11月2日(金)
公開シンポジウム:コ・デザインと当事者研究
時間 11:00-17:30
場所 東京大学先端科学技術研究センター3号館1階ENEOSホール
★基調講演★
11:00-12:30 全米障害と技術の共同作業部会とインクルーシブ駆動型開発モデル
スコット・クファーマン (コロラド大学コロラドスプリングス校)
12:30-14:00 昼休憩
★レクチャー・シリーズ: 当事者研究の紹介★
14:00-14:25 当事者研究の歴史と哲学
向谷地生良 (北海道医療大学)
14:25-14:50 当事者研究の方法
綾屋紗月 (東京大学)
14:50-15:15 当事者研究の反スティグマ・向リカバリー効果
上岡陽江 (ダルク女性ハウス/東京大学)
15:15-15:40 当事者研究による基礎研究・臨床研究の共同創造
熊谷晋一郎 (東京大学)
15:40-16:05 反スティグマプログラムの共同創造
長井志江 (情報通信研究機構)
16:05-16:20 休憩
★パネルディスカッション★
16:20-17:30 日本で支援技術の共同創造過程をどのように社会実装するか
2018年11月3日
ワークショップ:コ・デザイン見本市
時間 9:00-12:30
場所 東京大学先端科学技術研究センター3号館南棟1階ENEOSホール
東京大学先端科学技術研究センター3号館南棟中2階M252・253
9:00-9:30 本日の出展者の紹介
「デザイン・シンキング」IBM東京基礎研究所
「サイバスロン」スイス大使館
「グラフィック・レコーディング」清水淳子
「当事者研究」べてる・ダルク・おとえもじてなど…
9:30-12:30 ワークショップ (事前予約制)
<講師>
スコット・クファーマン (コロラド大学コロラドスプリングズ校)
スコット・クファーマン博士は、コロラド大学コロラドスプリングズ校(UCCS)の助教、および特別教育コーディネーター。また、米国連邦政府からの資金提供を受け、障害者と技術者あわせて200名が、アクセス可能な技術と支援技術の共同開発と共同評価を初期段階から行う「全米障害と技術の共同作業部会(NCDT)」のディレクターを兼務。クファーマン博士は複数の特許を保有しており、彼が開発した30以上のハードウェアおよびソフトウェアアプリケーションは、現在1日に平均1万人のユーザーに使用されている。彼はアクセス可能な技術と支援技術に関する講演を世界中で行っており、最近ではドバイと韓国を訪れた。 クファーマン博士は、米国教育省、米国保健福祉省、米国労働省の主任審査員や顧問を務めている。彼はその功労により、全米障害者委員会(National Council on Disability)代表者に選出され、米国教育省長官優秀賞を含む複数の著名な賞を授与されている。
向谷地生良(北海道医療大学看護福祉学部)
青森県十和田市出身。1978年4月より北海道日高にある浦河赤十字病院医療社会事業部にソーシャルワーカーとして勤務し、精神障害を持つ人達の自助活動に参加、有志で1984年4月に地域活動拠点として「浦河べてる(“神の家”の意)の家」を設立、日高昆布の産直をはじめとする事業を推進、現在は総勢100名をこえる当事者が関わる。2001年より「当事者研究」を創案し、自助活動や相談支援に取り入れる。2003年4月より、北海道医療大学看護福祉学部で教鞭をとりながら、べてるの家と全国各地をメンバーとともに「当事者研究」の普及をめざして飛び回る毎日を過ごし、海外との交流も盛んになっている。著書に「べてるの家の非援助論―共著・医学書院」2001、「べてるの家から吹く風・いのちのことば社」2006、「技法以前」医学書院2009 他多数
綾屋紗月(東京大学先端科学技術研究センター)
自閉スペクトラム当事者。発達障害者が参加・運営する当事者研究会「おとえもじて」主催。東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程。著書に『発達障害当事者研究――ゆっくりていねいにつながりたい』(共著、医学書院、2008)、『つながりの作法――同じでもなく違うでもなく』(共著、日本放送出版協会、2010)、『増補 前略、離婚を決めました』(イーストプレス、2012)など
上岡陽江(ダルク女性ハウス代表/東京大学先端科学技術研究センター)
ダルク女性ハウス代表。子どものころから重度のぜんそくで、小学6年から中学3年まで入院生活を送る。そのなかで処方薬依存と摂食障害になり、19歳からはアルコール依存症を併発。27歳から回復プログラムにつながった。1991年に友人と2人で、薬物・アルコール依存をもつ女性をサポートするダルク女性ハウスを設立。2003年に精神保健福祉士資格を修得。
熊谷晋一郎(東京大学先端科学技術研究センター)
東京大学先端科学技術研究センター准教授、小児科医。日本発達神経科学学会理事。 新生児仮死の後遺症で、脳性マヒに。以後車いす生活となる。東京大学医学部医学科卒業後、千葉西病院小児科、埼玉医科大学小児心臓科での勤務、東京大学大学院医学系研究科博士課程での研究生活を経て、現職。専門は小児科学、当事者研究。主な著作に、「リハビリの夜」(医学書院、2009年)、「発達障害当事者研究」(共著、医学書院、2008年)、「つながりの作法」(共著、NHK出版、2010年)、「痛みの哲学」(共著、青土社、2013年)、「みんなの当事者研究」(編著、金剛出版、2017年)、「当事者研究と専門知」(編著、金剛出版、2018年)など。
長井志江 (情報通信研究機構)
情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター 主任研究員、ビーレフェルト大学CITEC客員教授、大阪大学大学院工学研究科 招へい准教授。構成的アプローチから人間の社会的認知機能の発達原理を探る、認知発達ロボティクス研究に従事。自他認知や模倣、他者の意図・情動推定、利他的行動などの認知機能が、環境との相互作用を通した感覚・運動信号の予測学習に基づき発達するという仮説を提唱し、計算論的神経回路モデルの設計とそれを実装したロボットの実験によって評価。さらに、自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害者のための自己理解支援システムを開発。ASD視覚体験シミュレータは発達障害者の未知の世界を解明するものとして高い注目を集める。2016年12月より JST CREST「認知ミラーリング」の研究代表者。
<コ・デザイン見本市 出展者>
IBMデザイン思考(IBM東京基礎研究所)
デザイン思考とは、ユーザーとユーザーの抱えている問題を中心に置いて、その問題を解決するソリューションを創出するための一連の思考プロセスを指します。カリフォルニアに本社を構えるデザインファームIDEO社の創業者ティム・ブラウン氏が2005年のハーバードビジネスレビュー誌において、「デザイナーの手法と感性はビジネスに応用可能である」と提唱したのがこの言葉が有名になったきっかけです。
IBMでは一般的なデザイン思考の考え方をベースに「お客様を中心に新しい体験をデザインするフレームワーク」として、日々の企業活動のなかでデザイン思考を活用しています。具体的には、ユーザーがどのような人で、どのような体験をしていて、何に困っているかを理解し、本質的な課題を浮きぼりにしながら、解決策となるソリューションのプロトタイプまでを形にする「デザイン思考・ワークショップ」を社内外で実施しています。
当カンファレンスにおいては、デザイン思考の基本的な考え方をご紹介するとともに、通常2~3日をかけて実施するデザイン思考・ワークショップをコンパクトに体験いただけるようにしました。コ・デザインと当事者研究に通じる取り組みともいえるデザイン思考・ワークショップをぜひ体験してみてください。
【IBM東京基礎研究所(IBM Research – Tokyo)】
IBM東京基礎研究所は、世界に12ヶ所あるIBMの基礎研究所の一つとし頞年に設立されました。東京と新川崎を拠点に、AIを支える数理科学、行動科学、機械学習、最適化アルゴリズム、自然言語解析、音声認識、アクセシビリティやデバイステクノロジーの研究を行っているほか、専門知識とリサーチ・アセットを活用して、ビジネス課題の解決に向けたお客様との共創活動にも参画しています。
サイバスロン(スイス大使館)
サイバスロンは先端技術の力を借りて、障がいのある人たちが日常生活に必要な動作に挑戦する、国際競技大会を軸としたプロジェクトです。
技術者と、技術を操縦する人、という意味で「パイロット」と呼ばれる障がいのある人たちが、開発の段階から協力して優勝を目指します。コースで競うのはパイロットですが、技術者と一体となっての勝利であればこそ、表彰台には両者が登壇します。
競技大会という形をとることで、参加チームのモチベーションを上げるほか、これまで技術や障がいと接点がなかった人々の関心を喚起し、対話に参画してもらうことを目指します。サイバスロンではレース後、来場者の方々と、参加チームの技術者、パイロットが直接交流できる場を設けます。直接対話してもらうことで、日常生活における平等や、社会参画について、多くの人に考えてもらうためです。
サイバスロンはスイス連邦工科大学チューリヒ(ETH Zurich)のロバート・リーナー教授が発案したプロジェクトです。第1回大会は2016年10月にスイスで行われ、次は2020年5月の開催です。これに先立ち、来年5月には、車いすだけの大会を初めて、日本で開催します。
グラフィックレコーディング(清水淳子)
グラフィックレコーディングとは、人々が何かについて話し合う際に生まれる発話を、1枚の大きな紙に、図や文字や絵を組み合わせたグラフィックで描き出すことで、人々のよ りよい対話を引き出す手法である。目に見えない議論の全体像を可視化することによって、お互いの意見の共通点や齟齬を発見しやすくなる。また話し合いに参加できなかった第三者に対して議論の内容を伝えるなど、工夫次第で様々な効果を生み出すことができる。
【清水淳子】
1986生まれ。2009年 多摩美術大学情報デザイン学科卒業後 デザイナーに。2012年WATER DESIGN入社。ジャンルを超えた横断的な事業を生むためのビジネスデザインに携わる。2013年Tokyo Graphic Recorderとして活動開始。同年、UXデザイナーとしてYahoo! JAPAN入社。現在、東京藝術大学美術研究科 情報設計室と多摩美術大学情報デザイン学科専任講師として議論の可視化を研究。著書に『Graphic Recorder ―議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』がある。