山内 眞理
この度犠牲になられた19名の方に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々の1日も早い回復をお祈りしています
岩崎航/詩人
この追悼集会に連帯の意志を表明します。亡くなられた19人ひとりひとりの命に思いを寄せ、ご冥福を祈ります。被害に遭われた方々の一日も早いご回復を祈ります。「障害者は不幸しか作れない、社会のためにいなくなったほうがよい」このような考えかたが今回の事件を生みました。一人一人の障害者が社会の真っ只中、人々との関わりの海に漕ぎ出して、自分の命を全うし、自分の人生を諦めずに生きていく。その姿を自然に示していくことが、この事件を生んだ闇を吹き払う力になると思います。私も筋ジストロフィーによる重度障害をもつ当事者として、社会で生きる一人の人間として、できることをしていきます。(詩人・筋ジストロフィー当事者 岩崎航)
西角純志/津久井やまゆり園元職員(現:専修大学兼任講師)
私個人は、亡くなった方や負傷者の氏名が匿名であるのは、違和感を覚えます。逆説的にいえば、「障害者はいなくなればよい」という容疑者の主張を正統化することに繋がりかねないからです。被害者にはその人なりの人生があったはず。これを契機に障害者の対する匿名報道について議論や、障害者への関心を高めていかなければならないと思います。被害者の方のご冥福をお祈りします。
朝生賀子/生活訓練事業所勤務
障害者といわれる人たちとの関わりを続けてきたことで「生まれてこなかった方がいい命なんてない」という確信を得ました。
その確信があれば、生きていくのにじゅうぶん。それくらい、その確信がわたしを支えています。
犯人は彼らから、どうして学べなかったんだろう?
わたしと何が違うんだろう?
考え、関わり続けます。
堤 愛子/CIL町田ヒューマンネットワーク
この事件は、障害を持つ者として「優生思想」を具現化したものと受け止め、不安と恐怖を感じています。
この事件の後で、知り合いの障害者から
「施設職員が怖い。ヘルパーだって、安全とは言えないとよね」と言われ、ショックを受けています。
私はCIL(自立生活センター)のスタッフとして、どんなに重い障害を持っていても生きられる地域をめざしてきました。その基本となるのがヘルパー派遣であり、介助者を日常生活に入れていくことです。その信頼関係が揺らぐことは、当事者にとっても、ヘルパーにとっても、つらさと無力感を引き起こすものです。
信頼関係と言っても、日々の生活はきれいごとではなく、様々なトラブルや感情の軋轢は生じています。それでも、「共生社会への願い」があるから、いろいろな思いを抱えながらやってきた歴史があります。
この事件で、「信頼関係が揺らぎ、地域での生活が揺らいでいくこと」だけは避けたいです。このような犯罪に負けたくはありません。
これまで培ってきたヘルパーさんとの信頼関係を揺るがすことなく、日常生活を淡々と積み重ねていくことができるよう、自分自身に対しても、周囲の方々に対しても働きかけていきたいと思います。
お亡くなりになった方々のご冥福を、心よりお祈りいたします。
屋嘉比ふみ子
今回の殺傷事件には強い衝撃を受け、断腸の思いを禁じ得ません。殺害されたご本人たちの無念はもちろん、ご遺族や重傷を負われた方々またその家族の方の哀しみや痛みは想像を絶すると思います。
70年代以降、障害者やその家族のみなさんの尽力によって社会を動かし、障害者自立支援法や障害者差別解消法等の成立にこぎつけました。これから具体的に差別の解消に向けて運動が進められようとするときに、半世紀を遡るような今回の事件は到底許されるものではありません。
優勢思想は容疑者本人だけではなく、まだまだ巷に日常的に根強く巣食っていると思います。殺害されたにも関わらず、ご本人の氏名も公表されないという実態が、社会の歪みを表していると思います。重度の重複障害者として施設に入っていたことは究極の差別の対象になるという社会の在り方に強い憤りを感じています。
憲法で定められた基本的人権はすべての国民が享受できる最低の権利です。どのような立場にある人でも、その生命はかけがえのない貴重なものであり、平等に尊重されなければなりません。
様々な障害を持って生きておられる人々が、安心して生きられる社会にするために、当事者の懸命な努力で積み上げてきたものを継承し、さらなる運動につなげていけるように、自分の足元から考え直す必要があると思います。
また、容疑者についての調査や鑑定も十分でない現状で、精神障害者の差別を助長するような措置入院の見直し検討などの動きも、とても危険なことと考えます。
政府はまず、「障害者差別を許さない。人としての尊厳を踏みにじるあらゆる差別を許さない」と断言すべきです。経済優先ではなく、「すべての人が平等に生きられる社会を必ず作る」と、今こそ言うべきだと思います。”
樋口直美/レビー小体病当事者
この問題は、認知症を引き起こす病気と共に生きる私と友人たちの問題でもあります。そして、いずれ老いて弱り、病み、怪我もし、いつか必ず、もれなく障害者になることを定められた人間すべての問題です。
いがらしみなこ/生活思想社
亡くなった方々・被害に遭われた方々、精神的な苦痛をたくさん負ったであろう方々に心よりご冥福、お見舞いを申し上げます。経済状況も厳しく、自分を守る・自分が這い上がることを自助努力とする社会がこのような犯罪を招くと思います。できることは少ないかもしれません。だけど、このままではよくならない、悪くなる一方であるのですから、何かしらの微力を尽くしていきます。
高橋加奈子/法律関係
私は身近に障害者がいる方々の側で時間を過ごさせて頂いているもので神奈川県出身のため、今回の事件には胸が割れるような痛みを感じました。しかも、どなたが亡くなったかの報道もならず、一方でその理由も良くわかり、私にも全く救いのないこととなっております。更に、今回のショッキングな事件、これにまつわる障害をもつ人々の家族、医療現場、地域など、様々な方たちの様々な反応やご意見にも触れ、障害者というだけで社会からの切り捨てを推進するような風に傾く危惧を抱いています。綺麗事ばかりでなく、もっと楽しく共生する考え方のもと、対処法のようなやっつけ制度改革ではなく共生の方向に向けての制度創設を考え直すときだと思います。これを胸に刻み、改めてここに亡くなった方々のご冥福をお祈り申しあげます。
内村直之/フリーランス 科学ジャーナリスト
人間という存在の価値を、認めない思考は許せません。一人一人がそれぞれの生を全うできる世の中にしていかねばなりません。戦争に敗れて、そこから出発したのです。もう一回、そこへ戻ることは許せません。
村上裕子
理不尽な理由で、突然命を奪われた19名の皆さまに謹んで哀悼の誠をお捧げ致します。負傷された皆さまにお見舞いを申し上げますと共に、職員の皆さまを含め、心に大きな傷を負わされてしまった皆さまに、心からお見舞いを申し上げます。
残念ながら集会に参加することはできませんが、同じ思いを強く持つ者の一人として、メッセージを送らせて頂きます。
そうなんです。机の上に並べた資料だけで対策を議論するのではなく、様々な現場の、様々なかたの「生」の声を聞き合うことがとても大切と思います。今回、家庭の事情で、そうしたお声を拝聴する好機に出かけられないのはとても残念ですが、私にも出来ることを探りながら勉強して行きたいと思っています。
これまでも、『学校や施設の安全を図ることはとても大切。でも、それが単なる閉鎖や隔離になってはいけないのではいか』と考えておりました。このご案内の中に、同様の趣旨のことが語られていたので、メッセージをお送りしたく思いました。
稔り大きい集会となりますよう、お祈り致しております。”
須美 基香(仮名)
私自身も、家族も、複数精神疾患をもっています。でも普通の生活をしています。それが壊れそうになったら医療や周囲の助けを求めます。つらいのは、知り合いや近所や職場や役所のstigumatizeする眼ですね。だれもが、当事者になる可能性があります。抹殺しようとするなら、それは自分自身を排除し、抹殺することだと、個人も社会も気づきましょう。健常者ー異常者の2元論の時代はもう終わりました。
成田すみれ/社会福祉法人 いきいき福祉会 総合施設長・相談支援員
まずは、尊い生命を絶たれた19名の方々の冥福と、今なお病床にある皆様の回復
をお祈りします。今回の事件は、現在のわが国が「人の生命や尊厳を大切する社会」であるのかを、私たちに問うています。このことを厳粛に受け止め、今後何をすべきか等について、皆様と共に考えたいと思います。
三木 祐介
世界に非寛容な雰囲気が広がっているのを感じる。お互いの違いを認め合うことが本当の平和につながると信じている。
木村 潔/特定非営利活動法人スぺースぴあ
健常者と障害者の命の軽重を問われたとき、両者の仕事上の効率の優劣を問われたとき、働くことの意味を問われたときに、そこからは両者の隔たりを超え出て、人が生きるということの真の<深み>が自ずから立ち顕れてくるはずです。追い詰められた状況下では、当事者も、家族も、支援者も、誰もが皆、これ以上命を長らえて行くことの苦しみから逃れたいと思わざるを得なくなります。その時に、自らの命や他の者の命を絶つことの誘惑を圧し留めるものは何なのでしょうか・・・いつも障害という状況に向き合い、その渦中に在る私たちは、新たにどのような深く豊かな地平に立つことが出来るのでしょうか・・・
津田純子
闘病中の為生活保護を受け生活しています。
大変恐ろしい事件です。私も闘病生活中ですが、生活保護バッシングが始まった時から数年酷い差別やバッシングに泣きました。バッシングするのは、普通の常識人とされる社会的にそれなりの方々でした。津久井やまゆり園で起きた凄惨な事件は、生産性の有る無しで生きる価値の線引きをした優生思想やナチスのT4政策に強い影響を受けていると報道等で知り、この国の平然と弱者切り捨て政策が強く影響していると生命保護バッシングを体験した私は強く感じております。この弱者切り捨ての風潮について真剣に向き合わないと日本は大変悲しい国、恐ろしい全体主義の国に変貌するのではないか?と危機感がつのります。沢山の心有る人達がこうした問題を根底から見つめ決して再発させない、決してこのような恐ろしい事件が起きないようにする為に善意の声を上げ続けて行かなくては成らないと私も決意しました。
近藤洋一/相談支援専門員
あってはならないことが起きてしまいました。悲しい気持ちで一杯です。被害に遭われた方の為にも二度とこのようなことが起こらないよう願うことをやみません。
佐藤栄子/日本臨床心理士会/スクールカウンセラー
当日の朝。一報を知り驚愕と同時に…何が起こったのが咄嗟に理解不能になつった。静かに静かにご自分の人生をいっぱいに生きている方達の命を奪うこと。それを「正当性」を訴えて実行に移してしまったこと。今回の事件で尊い命を奪われた被害者の方のお一人お一人…そしてご家族、関係者の皆様に深い深い哀悼の意を表明させていただくと同時に、心理職として加害者の側の「闇」を増幅してしまったことに深い深い反省を肝に銘じつつ…哀悼と決意表明のメッセージと変えさせていただきます。合掌
黒川常治/社会福祉法人巣立ち会 ピアスタッフコラムニスト
亡くなられた方の御冥福をお祈りします。怪我をされた方の1日も早い回復をお祈りします。社会に潜む差別意識が膨らんで起きた残酷で卑劣な事件だと思います。障がい者が社会の一員として当たり前に暮らせることを願います。
田中直樹/全国精神障害者地域生活支援協議会[あみ]事務局長
2016年7月29日
相模原市の障害者施設における殺傷事件について
特定非営利活動法人全国精神障害者地域生活支援協議会[あみ]
代表 伊澤雄一
7月26日未明に起きた神奈川県相模原市の障害者施設における殺傷事件は、19名の死亡者と24名の負傷者(職員を含めた負傷者は26名)という未曽有の惨事となりました。不幸にして亡くなられた方々とご家族に深い哀悼の意を表するとともに、負傷された方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。そして、この事件に巻き込まれた施設の利用者ならびにご家族、そして職員、理事者、関係者の方々に安心が取り戻せる日ができるだけ早く迎えられることを願ってやみません。
当該施設の元職員である容疑者の犯行は、深夜に施設に侵入し、抵抗のできない障害のある人を次々に殺傷していくという、極めて残忍かつ冷酷なものであり、到底許すことはできません。「障害者はいなくなればいい」として障害のある人の存在そのものを否定し、大量殺戮を行った行為は、歪んだ価値観による身勝手な凶行というほかはなく、司法による厳正な裁きを求めるものです。
私たちは、精神障害のある人たちが地域の中で当たり前に暮らし続けられるよう支援活動を行うものとして、この事件のあまりの残虐さに深い悲しみとこの上ない怒りを覚えるとともに、この事件が障害のある人たちのこれからの暮らしに大きな不安をもたらしていることに強い危惧を持ちます。
私たちが暮らす社会は、障害の有無に関わらず、当たり前に人の命を尊び、認め合うことこそが大切です。しかし、利益を生むか生まないかで人の価値を決める考え方や、特定の人々を排除したり攻撃したりする思想が、世界中に蔓延しており、わが国もその例外ではありません。容疑者が障害者に対して投げつける差別的発言と行動には、そのような社会の風潮の極端な形での反映にも見えます。この事件をきっかけに人々の間に差別意識が広がっていくことがあるとすれば恐怖はさらに深く暗いものになってしまいます。
政府は、この事件の再発防止策のひとつとして、措置入院のあり方について見直しを行う方針を示しました。容疑者が措置入院をしていた経歴に着目してのことですが、犯罪の防止に精神医療を利用するということが果たして適切なのでしょうか。
「危険な人物は精神科病院に強制的に入院させる」という精神医療の利用は、本来医療を必要とし生活上の支援を求める多くの精神障害のある人を、精神医療の名の下で社会から排除することにつながります。そのような考え方自体が、この残忍な事件を起こした容疑者の「障害者なんていなくなればいい」という差別思想に通底しているともいえるのではないでしょうか。
私たちは、この残虐な事件を目の前にして整理しきれない悲しみと憤りを抱えたままではありますが、それでもなお、人を排除しない社会をつくっていくことにしか解決の道はないと考えます。一人ひとりの命の尊厳には少しの差もないということをあらためて胸に刻み、これからも精神障害のある人たちの地域生活支援活動をさらに進めていきます。”
小林和子/週刊金曜日編集部
容疑者の発したメッセージが本当の意味で荒唐無稽と思えるような社会にしたいと思います。
関根善一
優生思想の亡霊には負けない!
加藤伸吾/慶應義塾大学経済学部
不本意な形で生を中断されたであろう今回の犠牲者の皆さんに、深い哀悼の意を、また、負傷なさった皆さん、加えて、亡くなった方のご家族、負傷者のご家族の回復を祈りたく思います。同時に、今回の追悼集会の趣旨に、敬意と賛同の意を表します。
上田理奈/発達障害当事者
わたしたち障害者は、みんな生きたいのです!
桑原和久/週刊金曜日 記者
今何が必要か真摯に考えたい
松浦 聡/障害福祉全国団体本部 事務局員
恐怖と苦しみの中、命を奪われた無垢の被害者の方々に心から哀悼の意を表します。障害があるというだけで人間としての価値が軽んじられる思潮には、はっきりと否!と言わなければなりません。
村岡 なつき
言葉にならない悲しみがあります。このまま終わりにしたくなく、参加させていただきます。
遠藤賀子/ソーシャルワーカー
すべての人、とくに弱い人が大事にされる社会が、みんなが住みよい社会だと思います。誰かを排除して済ませるのではなく、ただ、人というだけですべての人が大事にされる社会へと変わっていくよう、努力したいです。
秋山 広子
集会に参加出来ず、本当に残念です。
私自身、複数難病を抱えた、重度障がい者の1人です。
気管切開、終日人工呼吸器の使用者です。
今回のやまゆり園の悲惨な事件で、19人の尊い命が、ある1人の偏った考えにより、突然絶たれなければならなかったこと、とても、悲しく、悔しく、虚しくおもいます。
なぜ、重複障がい者は、生きる価値がないと決めつけられなければならないねですか?
家族にとっては、どんなに障がいが、重くても、大切な命が、存在なのです。
外見的に、何も理解できない、出来ていないと思われる人だとしても、それは、受け取る(受信する)感度が弱いだけであって、誰にも、どんな状態の人でも、心はあるはずです。
今回の痛ましい事件で、重複障がい者は、生きていく価値のない人間、重度障がい者は、税金を使って、無駄に、生き、生かされていると言う、誤った風調が世の中、社会に広がることを、とても
怖く、恐ろしくおもいます。
どうか、そう言うことではなく、色々な障がいのある人も、健常者と言われるひとも、みんないて、あたりまえと言う世の中、社会に少しずつでも、変わることを心から願っています。
障がい者は、特別ではありません。
誰だって、いつ、事故や、病気で、障がいを持つかわからない と言うことも、心の片隅にでも、覚えておいて貰えたらと思います。
長くなってしまいましたが、今回
突然に命を絶たれてしまった19人の皆さんがどうか安らかに眠れますよう、心からお祈りしています。
伊藤充子
どの命もどこかの誰かにとって大事な命。それが無残に消されてしまった・・・本当に悲しいことです。亡くなられた方々に心より哀悼の意をささげます。今回の事件は起こるべくして起こったような気がして恐ろしくてなりません。障碍者に対する、在日の方々に対する、その他多くのマイノリティに置かれている方々に対する、憎悪・蔑視・偏見が社会に通奏低音のように流れているような気がします。事件を容疑者の資質に全てを帰してしまうのではなくて、私たちの社会の在り様を考えることが必要と思います。
久島ももよ/研究員
起きたことの衝撃に、まだ言葉が見つかりません。社会的に弱い者同士が、手を携えるのではなくこのような関係性になってしまうことが、そういう関係性しか築けない世の中になっていることが、悲しい。
梅田おりえ/ヘルパー
参加したいのですが、介助の仕事で行けません。集会には参加できませんが、障害のある人が今日も明日も、行きたいところに行けるように、したい生活ができるように、微力ながら自分の仕事をがんばります。平穏に続いていたであろう日常を突然奪われてしまったやまゆり園のみなさまのご冥福を、心からお祈りいたします。
匿名希望/被害者家族
亡くなった被害者の実名が報道されていない件についての是非が問われているようですので意見を述べさせていただきます。
私は親に弟の障害を隠すなと言われて育ってきましたが、亡くなった今は名前を絶対に公表しないでほしいと言われています。
この国には優性思想的な風潮が根強くありますし、全ての命は存在するだけで価値があるという事が当たり前ではないので、とても公表する事はできません。
加害者に似た思想を心の奥底に秘めた人や、このような事件の時だけ注目して心ない事を言ってくる人も少なからずいるでしょう。
家族は弟と生きるために強くなるしかありませんでした。
その力の源をある日突然にあまりにも残虐な方法で奪われてしまったのですから、しばらくは立ち向かうことができません。
今はただ静かに冥福を祈りたいという思いは他のご家族も一緒なのではないでしょうか。”
長谷川寿一/公益社団法人日本心理学会理事長・東京大学教授
神奈川県の障がい者施設で起こった大変痛ましい凄惨な事件に関し、日本心理学会は、これらの犠牲者と関係者の方々に深い哀悼の意を表します。
折しも、日本心理学会が共催している第31回国際心理学会議(ICP2016)が横浜で開催されている期間中に起こった悲しい事件であり、世界中の心理学者からもお悔やみの声が多く挙げられました。
ICP2016は「Diversity in Harmony(調和の中の多様性)」をメインテーマに掲げています。このメインテーマに反する悲惨な事件が起こったこと対して、ICP2016実行委員会は、事件翌日の7月27日に以下のような声明文を発しました。私も起草メンバーの一人です。
ICP2016の共催団体である日本心理学会としても、障がい者の基本的人権を侵害する今回の事件に遺憾の意を表し、このような悲しい出来事が起きない社会を構築するために努力を重ねていきたいと思います。
公益社団法人日本心理学会理事長 長谷川寿一
第31回国際心理学会議(ICP2016)実行委員会声明(2016年7月27日)
On July 26th, a horrifying mass killing occurred at a facility for
disabled people in the same prefecture as the Congress venue. The ICP2016
Executive Committee would like to express our most sincere condolences to
the victims and their relatives. From the perspective of the congress
theme of ICP2016, “”Diversity in Harmony””, we deeply regret the atrocious
crime against the severely handicapped people. As psychologists, we will
make every endeavor to prevent such saddening incidents that go against
our congress theme.”
小池倫平/㈱医学書院
まずは心が凍りつくような事件の犠牲となった方々、そのご家族にお悔やみを申し上げます。私は同じ社会でともに生きることを望みます。
飯島惠子/NPO法人ゆいの里、障害者支援施設かりいほ
ことばにならない思いを追悼集会に参加することで整理してみたい
岩川ありさ
謹んで哀悼の意を表します。「信じて頼る」ことが社会の根源だと思います。立場を超えての連帯を表明します。
樋渡 明美/特定非営利活動法人さざなみ会 シャローム港南
亡くなられた方に深く哀悼の意を申し上げます。悲しく、怒るべき事件であることはもちろん、このようなことが二度と起こらないようにするために、今私たちが行うべきことは何かをみんなで考えたいと思います。
斎藤直美/ほっとカフェ西東京 代表
「津久井やまゆり園」の事件で亡くなられました方々とご遺族に心よりお悔やみ申し上げます。
さて、今の社会情勢と今回の事件を知り、是非とも見て頂きたかったと思う番組があります。
www.nhk.or.jp/etv21c/archive/160130.html
www.nhk.or.jp/hearttv-blog/3500/230061.html
テレビ番組 「NHK-ETV特集 それはホロコーストの“リハーサル”だった〜障害者虐殺70年目の真実〜」です。
『 600万人以上のユダヤ犠牲者を出したとされるドイツによるホロコース。しかし、ユダヤ大虐殺の前段階に、いわば「リハーサル」として約30万人の精神や知的に障害のあるドイツ人らが殺害されていた。という歴史的事実がありました。
日本障害者協議会の藤井克徳さんは「有事の際には、まず障害者にしわ寄せがくる」と強調されていました。NHKの制作サイドは「だからこそ、再び過ちを繰り返さない為に番組で考えたかった」』との述べていました。
障がい児の母である私は、上記を知り、大きな衝撃を受けました。
そして、その後「津久井やまゆり園」の事件が起きました。
更にその後の選挙……
選挙の結果を見て、不安な気持ちになった障害者の親は少なくありませんでした。
「津久井やまゆり園」の事件で、障害者が阻害される風潮ができてはなりません。
親がどれほどの愛情を注ぎ、子供の幸せを願って育ててきた事か。
また、親が障害者・児の生きる権利獲得の為に、どれほど身を削って活動をしてきた事か。
その思いや、苦難の歴史に思いを馳せてほしい。
この事件で被告が、障害者の尊厳や存在価値を抹殺するに等しい行為をした事は、許すことができません。
健常者と障がい者の共生社会に向けて、障害者の環境づくりの活動を続けて行こうと思います。
伊藤 清市/とっておきの音楽祭実行委員会SENDAI 実行委員長
We can support people with disabilities.
今井康之/新宿区障害者団体連絡協議会
今回の事件では、犠牲となった方々に心より追悼の意を表すとともに被害にあわれた方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。
この痛ましい事件が起きたことにより、いつ自分も恐ろしい事件に巻き込まれてしまうのではないか、自分の存在が社会に迷惑をかけているのではないかなど様々な不安が頭をよぎり、悩んでいる方々がいます。その方々の不安が一日も早く不安を解消できるそんな日々をだれもが望んでいます。
今、地域の中で暮らしている方々。私たちは、親や家族、同僚や地域の方々、そして仲間と一緒に同じ時を過ごしています。ときに些細なことに一喜一憂し、ときにほんの小さなことに悩み、ときにひとつの出来事を悲しみ、そんな日常の喜怒哀楽を共有できる人たちが一緒の時間を過ごしています。だれもが、自分の存在意義をもち、そして役割を担っています。そこには、ハンディキャップのあるかないかは関係ありません。その存在に助け、助けられ、みんなで支え合いながら過ごす日々がいつもの日常なのです。私たちはそんな日常の中で過ごす時間をとても心地よく想い、毎日目的をもって過ごしています。そのような明日が、明後日が、そして毎日が続きますようにいつも描いています。全ての人が生きる意味や存在価値をもち、いのちや尊厳が守られる毎日が続きますようにこの追悼集会を通じてもう一度、みんなの想いを一つに集結できることを心よりお祈り申し上げます。”
猿渡 達明/元ネットさがみはら(障害当事者)
私は、ネットさがみはらの市民オンブズマンの当事者です。
亡くなられた皆様、重軽傷を負われたみなさん、心からお悔やみ申し上げます。
本当に悔しくてたまりません。
事件を知って、ちょうど東京都の障害ケアマネ研修の講師中でした。
相模原に住んでいた時にオンブズマンで施設見学をしました。
私たちは、優生思想の当事者でもあります。
どんな理由であれ、もと職員であれ命にあるものを、「障害者は産まれないほうがいい」といったり、利用者に落書きするという、態度も支援員ならぬことをしたと書いてありました。
非常勤採用され、正職員登用の時の人となりをもっと見ていれば違ったのかもしれません。
犯人を死刑にすれば終わりというわけでもないし、刑をきちんと受け、人間の尊厳はなんなのか、生きるってどういうことなのか、教育という現場に立とうという人に知ってほしいです。
またまだ、社会は、障害のある人は立場の弱い人が自分らしく生きていける社会ではないです。
被害者の方の名前が公表されていないのもおかしいと思っています。
御家族の意向や、何らかの理由で公表されないかも知れませんが、事件は風化させてはいけません。
悔しくてなりません。
金滿里(キム・マンリ)/劇団態変主宰
障碍者の人類の歴史に刻まれてきた、しかし決して表舞台には取り上げられずできた、声無き、存在としてもかき消されてきた、差別の無念の恨み。それを、私は数多く運動の中で目にし聞き、そして今舞台へ表現という手段で、この身体に宿る障碍の魂の声にならない声を身体で表してきた。それがこの時代にして、最も酷い極悪犯罪者の手にかけられ、45名が殺傷される許すことのできない事件に遭遇してしまったのだ。如何にこの思いをはらせばいいのか、亡くなったそして傷付けられた障碍者たちは、どんな思いであったのかへ私は昼夜打ち震え胸を掻きむしる思いで、耳を澄ませねばならない。
現代社会に対する、大きな挑戦状を、この事件の犠牲者から突き付けられているのを感じる。
もの言えぬ施設内の弱い立場の障碍者に掛けられた、命を奪う、犯罪、を許さない!という強い怒りをもって市民が抗議のアクションを起こさねばならない。
浜田陽太郎
社会にも、そして私にも「植松的なもの」があるかもしれない、と自問自答する。
桐原尚之/全国「精神病」者集団・運営委員
このたび、相模原の障害者施設で発生した連続殺人事件で亡くなられた方に心からご冥福をお祈りするとともに、被害に合われた方々が1日も早く回復されることを願っております。
7月26日、相模原の障害者施設で前代未聞の殺人事件が発生しました。約50名の障害者を殺傷した植松聖容疑者は「障害者は生きていても仕方ない」という動機で事件を起こしたとされています。この「障害者は生きていても仕方ない」という考え方は、社会の中に根付いた障害者に対する差別意識のあらわれであると思います。
また、私たちは一箇所に大人数の障害者を収容する施設という環境が、短時間に50名近くの重度障害者の殺傷を可能とした点を厳しく指摘します。施設は大人数の利用者を一箇所に集めて少人数のスタッフで管理・援助していく仕組みであり、権能が管理・援助する人に集中しやすい点に特徴が認められます。そのため、小人数のスタッフが機能不全になると、利用者が無防備な状態で放り出されるような事態が起こり得ます。今回は、刃物を所持した元施設職員による殺傷事件というかたちではありましたが、重度障害者が逃げ遅れて死に至る問題は、災害その他さまざまなかたちで起こり得るものです。
そして施設や精神科病院は、障害者を収容して社会から隔絶してしまう負の側面があります。このように障害者を隔絶し、共に暮らすことのない社会においては、健常者の側から見て障害者が役に立たない、生きていても仕方のない存在のように思えてくるのだと思います。障害者とその他の人が共に当たり前に暮らしていく社会にしていくためにも、施設や精神科病院への長期収容状態から脱却し、地域移行や地域生活支援の拡充が不可欠になると考えます。
しかし、現在は容疑者に対する措置入院の解除、退院後の監視が不十分であり問題であったかのような報道が散見され、厚生労働大臣が8月に措置入院の見直しに関する有識者会議を設置し、措置入院の見直しの検討を宣言しました。私たちは、障害のある人もない人も共に生きていく社会に向けて治安的な色彩の強い出口を狭くするような法改正になるのではないかと深刻に憂慮しています。
大石智之/長野県ピアサポートネットワーク副代表
亡くなられた方々に心よりお悔やみ申し上げ、また肉体的にも精神的にも傷つけられた方々に心よりお見舞い申し上げます。
同じピアとして、ひとりの人間として 、差別にはじまる憎悪犯罪である、今回の事件を許すことはできません。また国に対しても、「差別は許されない」と、ただちに表明することを求めます。措置入院制度改悪に話が流れていることにも危機を感じます。これは立派なヘイトクライムです。国はごまかそうとしないでください。同じ悲劇を繰り返さないようにしてください。
全国のピアのみなさん、怖い毎日を過ごしていると思います。僕もこわいです。それでも僕は障害者であることを隠さず これからも堂々と生きていきます。
障害者差別をはじめ、あらゆる差別がなくなり、すべての人の尊厳が守られる社会を求めます。差別を許さない、すべての人と連帯します。差別がなくなり、共に生きられる社会を目指して。
川嶋哲子/西東京市 でこぼこ(発達障害の子どもの親と、支援者の会)
「やまゆり園」で被害に遭い亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、ご遺族の方々に心よりお悔みを申し上げます。
また、被害に遭われた方々、職員・関係者の方々にもお見舞い申し上げます。
私たちは、社会性についての障害を持ち、学校や社会で生きることに苦労している子どもたちを育てていますが、
今、社会で生きる苦しさは、障害のあるなしに関係なく、多くの人が抱えている問題と感じます。
ともに乗り越えていける社会を目指していくために、私たちはもっと分かりあわなければいけないのでしょう。そのために出来る事を、これからも続けていきたいと思います。
世の中に溢れるあられもない差別の言葉に後押しされ、実際に行動する人が現れたという現実を悲しく思います。
ですが、日々を暮らす中で、障害を持って生きることについての理解や支援が進んでいるという実感もあるのです。
ともに生きる道に進もうとしてくれる人たちの力と存在を信じて、
子どもたちには、ともに違いを認め合い、尊厳を持って生きていける未来があるのだと、教えていきたいです。
青木茂嘉/東京大学大学院
人の”尊厳”に違いはありません。人種や性別だけでなく障害の有無,お金持ち貧乏,すべてみんなそうです。ないにも関わらず,この世の中には様々な違いを”差別”や”偏見”という形で人々に投影され,多くの人が苦しみます。苦しさはみんなで共有し分かち合えますが,命はどう頑張っても分かち合えないです。だから,なおさら今つらい気持ちでいっぱいです。
無念の中,こころの声をあげながら亡くなった方々のご冥福を深く,深くお祈りいたします。
藤田 嘉信/NPO法人 生活の発見会・強迫性障害グループ
はじめまして。当事者研究の熱い思いの方々に接したい。
越高陽介/株式会社仏教タイムス社
亡くなられた方々の魂の安らかなることを祈ります。日本でもヘイトクライムを許さない取り組みが必要だと思います。
伊東香純
犠牲となった方へ心より哀悼の意を表します。また、被害にあわれた方へ心よりお見舞い申し上げます。お力になれず、情けなく申し訳なく思っております。
山本俊爾/NPO法人ゆるら 代表理事・一般社団法人WING-NETWORK理事
この事件で傷つき犠牲になられた全ての方にお悔やみ申し上げます。
事件後まだ混乱し気持ちがざわつき定まらない状態です。皆様と追悼の時間を共有させていただき、これからも希望を抱き歩み続けられればと願っております。
山南 達也/学生
今回の事件で犠牲となった方々に深く哀悼の意を表するとともに、障害の有無によって人間の「価値」が変わる訳ではない、というごく当たり前の認識を、全ての人間が共有できる世の中の到来を望んでおります。
伊東佳奈美/東京当事者研究ミーティングミートアップ
亡くなった方々へ心より追悼の意を捧げます。被害者のみなさまもそして容疑者も救えなかった今の社会を構成する一人として、深く頭を垂れるより他にありません。
やまさきただし/社会福祉士、精算保健福祉士
事件の後の週末、いつものようにRくんの車イス押して街に出ました。いつものように、知らない相手に親しげに手を振るRくん。たいていは無視されるのですが、この日は手を振り返してくれる人が多いようでした。それは、事件を受けての連帯の挨拶のようでもあり、世の中捨てたものではない、という気にさせられます。そして、事件で亡くなった方々のことを思い、涙が出ました。
大城春水
亡くなった方々のご冥福をお祈りいたします。
何が起きたのか分からないうちに亡くなった方もたくさんいたでしょう。
怖かったでしょう。
痛かったでしょう。
こんなことが起きてしまうような世の中を作ったのは私たちです。
ごめんなさい。
もう二度とこんなことが起こらないような世の中にしていけるように、私たちは努力していきましょう。
誓いましょう。
Yuhara
被害者の方々のご冥福をお祈り申し上げます。
被害に遭われた方、ご家族の方、職員の方を思うと言葉にすることもできません。
本当に起こってはならない事件だったと思っております。
とても悲しく許せない事件ですが、決して忘れてはならない事件だと思っています。
加害者がどんな心の重荷を背負っていてどんな差別が芽生えていて、どうすれば悲しい事件を防ぐことができたのか、よく考えていきたいと思います。
悲しい事件だけど忘れたくない。
「障がい者19人」ではなく、お1人お1人を深く考え、 ご冥福をお祈り致します。
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メッセージ国内編その2
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